6−2−1 既存のアプリケーションを活用した電子化
現在、文書作成時には既存のワードプロセッサなどを始めとしたアプリケーションを用いていることが多い。今日では電子出版ソフトとしてAcorbatなどのツールの登場によりどのようなアプリケーションを用いていてもPDF(Portable Document Format)というフォーマットに電子的に統一できる。これは比較的容易に文書を電子化できるという点から、現状の殆どが紙ベースで行われている文書管理業務での電子化においては、最も受け入れられやすいと思われる。
最大の利点としては、既存のシステム資源を活用するということから新たに大きな情報化投資を行う必要がないことがあげられる。しかし、既存のアプリケーション上での電子化ということなので将来、情報の共有化・再利用が困難になるという可能性も大きい。したがって、国際標準へ容易に移行するための整備として、文書のフォーマットや文書管理のルールの作成といった統一的な文書管理を心掛けておく必要があると考えられる。
(1) アプリケーションによる統一管理
現在、文書作成時には、ワードプロセッサなどの、既存のアプリケーションが利用されていることが多い。これは現状のシステムをそのまま活用できるという点から、コストや操作性の面からも優れていると思われ、最も受け入れられやすい形態であろう。
実際、マイクロソフト社のWORD等を採用して組織内の情報形態を統一することにより、情報の流通を円滑にし、一定の効果をあげている例も見られる。この形態はアプリケーション・オリエンテッドな文書管理システムと呼ばれている。
現在の紙による文書管理から、組織内において文書を電子データ化して一元管理することにより、ペーパーレスや作業効率の向上など様々なメリットが考えられる。
しかし、一組織内で一つのアプリケーションを採用する時の問題が三つ考えられる。一つ目はアプリケーションのバージョンアップである。異なったバージョンで作成した文書は再利用が出来ないことがあり、又、コンバート可能であってもデータの精度が落ちるという問題が指摘されている。
二つ目は情報の再利用の問題である。アプリケーションソフトでは文書情報を構造化して管理するという概念がないため、用語録であるグロッサリーの利用や文書の意味単位で
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